自分のペースをとり戻す 15:38
新しい職場がいろいろとひどい。
とにかく常に急いでいる。
どの案件も納期まで日数がなさすぎる。
ギリギリになってやっと依頼をかけてくるのである。
なぜ少しでも早く相談してくれないのか。
打ち合わせでもみんなやけに早口で喋る。
無駄な会話が一切なく、ピリピリしている。
時間を少しでも短く済ませ、自分の仕事に戻りたいのだ。
効率が良いですねとも思うがなんだか怖い。
1秒でも違うことを考えたら会話に置いていかれる。
メモを取る時間すら惜しい。
そういえば打ち合わせの為に移動するときすら早歩き、なんなら小走りだ。
以前の職場でも忙しいときはもちろんあったが基本はまったりとした雰囲気で居心地が良かった。
打ち合わせはある程度時間を長く取ってじっくりと、お互い残業が少しでも減らせるように気遣いし合っていた。
近況報告のようなやりとりや、今度こんな仕事をお願いするかも、といったふんわりした会話もあった。
みんな元気にしているだろうか。
新しい職場の速度感や張り詰めたような空気に完全に飲み込まれてしまっている。
仕事中だけでなく、私生活でもなぜか慌てて行動するようになってしまった。
息切れ気味。
精神的にもだし、文字どおり呼吸が常に乱れているような。
やばい人じゃないか。
多分職場とそれ以外での気持ちの切り替えがうまくできていないからだ。
人混みでイライラすることが増えた。
前の人の動きが遅いと抜かしてさっさと行きたくなってしまう。
早く歩けないお年寄りや子供に対してまで・・・と自分が嫌になる。
もともとてきぱき行動するのが苦手で慌てるのも他人を急かすのも嫌いだ。
のんびり生きていたい。
あの人いつも急いでいるよね、とか、忙しそうにしてるよね、と思われたくない。
待ち合わせより早く到着してカフェでひと休憩入れたい。
よく噛んでゆっくり食事を取りたい。
青信号が点滅し始めたら走って渡ろうとしない。
歩きスマホをしながら経路や乗り換えを調べない。危ないし。
メッセージを作るときは腰を落ち着けられる場所で考え、誤字がないか確認し、送信してから次の行動に移る。
マイペース人間だが遅刻することはほぼないし、上記はあくまでひとりのときの行動なので他人に迷惑もかけていないつもりだ。
今、この文章は早歩きしながらスマホのメモに打ち込んでいる。
歩きスマホ。ごめんなさい。
行きたいお店のオープン時刻に着くように向かっている(ランチで混む前に到着したい)のだが、場所もうろ覚えだ。
履いている靴下の親指の部分に穴があいている感覚があって歩きにくい。
まだ数回しか履いていないのに。爪が伸びていたのか。
脳内がとっ散らかっていて優先順位がおかしい。
文章は後だ。
道の端に止まってお店の場所を確認しよう。
慌てなくても予約をしているわけじゃないんだし、遅れて着いても何の問題もないじゃないか。
お店に無事到着し、席に着いたらやっと気持ちが落ち着いてきた。
名前はわからないが、女性ボーカルのゆったりした音楽が低くかかっている。
注文したコーヒーが運ばれてきた。
ブラックは久しぶりに飲む。美味しい。
換気のために窓が開けてあって少し寒い。
ストールを羽織り直していたら、気付いた店員さんが近くの窓を無言で閉めてくれた。
休日は、平日の慌てた感覚を沈めリセットするための時間だ。
乱れた心をゆっくりした動きに戻す。
昼まで寝たりダラダラとスマホを見ているより、朝ちゃんと起きる・家事をする・簡単で良いからご飯を作って食べる・ラジオや音楽に耳を傾ける・読書をする・・・といったふうに、軽く動いている方がリラックスできるみたいだ。
ひとり買い物や美術館なんかに出かけ、ゆっくり歩き回り、カフェで休憩してまた買い物を再開、という過ごし方も良い。
今いるような個人経営らしいお店も好きだがチェーン店の安定感も悪くない。
重要なのは仕事のことを少しでも脳内に出現させないことだ(この文章を考えただけで先輩の顔が思い浮かび気が滅入る)
今日はこのお店を出たら駅前で買い物をし、昼過ぎには帰宅してみかんでも食べながらこの文章を直そう。
履いている靴下、まだ捨てるにはもったいないから繕って家用にしよう。
夕方になったらゆっくり料理をしよう。
落ち着くと冷静に予定が立てられるものだ。
だんだん週明けも頑張ろうという気持ちが湧いてくる。
来週頑張ったら冬休みだ。
今年もいつものように家族や友人と過ごしたいが、どうなるだろう。